CloverPaint雑記

CloverPaintの解説・開発状況・内部仕様・利用法などについてつらつらと

ブラシ処理 大改修前の雑多なアップデート

Clover Paint v1.19を公開しました。

今回はCloverメモも同時にアップデートされています。

 

次回大型アップデートでは、ブラシ・ストローク関連が大幅に変更される予定なのですが、この変更に取り掛かると完成まで他の修正を殆ど入れられなくなる可能性があるので、最近出てきた比較的修正が簡単な要望などをその前に実装しています。

 

次に、Clover SCで作った低遅延ストローク描画ですが(描画処理まわりの違いはどうしようもないものの)、アルゴリズム系の低遅延化処理はClover Paintでも取り込むことが可能なので、ブラシのパラメータとして実装してみました。ただし、Clover SCのために作った処理であること、特になくても機能的に困らない部分であること、遅延にこだわるならばClover SC開発費用を負担して欲しい、などといったことから、この低遅延処理はClover SC(寄付版)を購入した人のみ利用可能なよう制限をかけています。

ただ、Clover SCとClover Paint/メモでは描画系の処理が全く異なるため、Clover SCの描き心地がそのままClover Paintで再現されるかというと、機種により異なります。私の手持ちの端末で言えば、GALAXY Note10.1では何の問題もなく、ほぼClover SCと同レベルの描き心地になりますが、FlyerやThinkPad Tabletではメニューなど、余分なUI表示を完全に消去してやっとClover SCに近づく・・・といった感じです。手持ちの端末でどういう感触になるか購入前に試したいという人のためにCloverメモ LITE版では寄付版を購入していなくても、低遅延ストロークを試せるようになっています。とはいえ、あくまでこの機能は寄付版のオマケという位置付けです。この機能のためだけに寄付版を購入することはお勧めしません。 

 

塗り潰しのClover化とショートカットへの登録機能

 

キャンバスの単色塗り潰し(イメージ→編集面→塗り潰し→XXXという非常に深い位置にある処理)をClover化してキャンバスに置けるようになりました。また、ショートカットへも登録可能にしました。

 

ギャラリーからキャンバスの新規作成時にレイヤー構成等を指定可能に

 

これまでキャンバスを新規作成すると、単一透明レイヤーを作成していましたが、

Photoshopに魂を縛られた可哀想な人達のために、キャンバス構成を最初に指定して新規作成できるようにしました。

ギャラリーの「新規」を長押しすると「設定」があるので、それで設定画面に移動します。

  • レイヤー構成
  1. 透明レイヤーのみ
  2. 単色レイヤーのみ
  3. 単色+透明レイヤー

3種類のレイヤー構成から望みのものを選びます。 

 

  • レイヤー色

レイヤー構成で単色レイヤーを含む構成を選んだ時に、そのレイヤーを塗り潰す色をここで設定します。

 

  • 編集サイズ固定

これまでは「イメージ→設定→編集枠→固定…」で設定していた編集枠の固定サイズを、ここで指定して新規作成するかどうかのスイッチです。OFFにしていればこれまで通りの無限キャンバスになります。

 

  • 編集枠サイズ

編集サイズ固定を有効にしたとき、ここで設定したサイズでキャンバスの編集枠が固定されます。

 

 

  • 新規作成

上記設定を保存せずに、その設定を使ってキャンバスを新規作成します。いつもとは違う設定のキャンバスを作るときに利用してください。

 

  • ディフォルトに設定

この設定ダイアログに入らず、ギャラリーの「新規」ボタンを押した時に作られるキャンバスを、いまの設定に書き換えます。便利ですね。

 

 

低遅延ストローク処理ブラシ設定

 

Clover SCのアルゴリズム系低遅延処理と同等の処理をClover Paintでも有効にします。

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この機能はClover SC(寄付版)を購入した人へのオマケです。寄付版を購入して一度起動している事が機能解除条件になっています。

設定項目は、現状ブラシ設定の一番下に表示されます。

  • ワンショットUndo

低遅延ストローク処理のON/OFFを設定します。OFFにしておけばこれまでと同じ処理になります。詳しい処理の内容は以下の記事を参照してください。

 http://cloverpaint.hatenablog.com/entry/CloverSCDelay

この記事にもある通り、この機能を使うと通常のストロークよりも処理が重くなります。 なお、混合系のブラシではこの機能は使えません。

 

  • -限界サイズ 

ワンショットUndoを有効にするサイズの上限を指定します。前述の通り、ブラシ処理が通常より重くなり、太いブラシではかえって遅延が酷くなるケースがあります。端末の処理速度や利用シーンにより適切な限界サイズが変化するため、ここでユーザーが指定できるようにしています。Clover SCと違い、サイズだけでなくキャンバスの拡大率等でもストロークの速度は変わるため、この設定は気休めでしかありません。利用シーン毎に何種類かペンを用意しておくのがいいかもしれません。

 

  • -予測強度

スタイラスから座標データが送られてくる間隔を1フレームとして、何フレーム先まで予測ストローク描画を行うかを指定します。大きな値を指定すると、その分処理が重くなり、予測が外れてはみ出したり線が揺れたります。

これはClover SCでも実験的に、将来遅延の少ない端末が現れた時の描き心地を少しでも体験できるように実装した機能です。適切な値を指定することで、それなりに気持ちいい描き心地になるかもしれません。お好みで設定してください。

 

おまけ

低遅延処理や予測がついたので、ついでにClover SCで使っているペンのブラシパラメータも紹介しておきます。新規にキャンバスを作成した直後のペンブラシから、以下のパラメータをいじってください。

  • ブラシ設定

ペン太さ → 7.0
描画演算タイプ → 濃度マスクして最大値を書き込む
入り抜き設定:開始太さ → 0.7
入り抜き設定:終了太さ → 0.0
速度効果:動的速度レンジ最小 → 1200
速度効果:動的速度レンジ最大 → 5000
速度効果:速度 → 太さ相関率 → -0.4
速度効果:速度 → 太さの硬さ → 1.0
筆圧効果:筆圧 → 太さ相関率 → 0.9
筆圧効果:筆圧 → 太さの硬さ → 1.50
筆圧効果:筆圧 → 流量相関率 → 0.6
筆圧効果:筆圧 → 流量の硬さ → -1.0

 

  • 筆圧設定(こちらは参考まで)

筆圧範囲最小 → 検知筆圧最小+検知筆圧幅*0.25
筆圧範囲最大 → 検知筆圧最小+検知筆圧幅*0.9
筆圧固さ → 2.0
筆圧適用率 → 0.99