CloverPaint雑記

CloverPaintの解説・開発状況・内部仕様・利用法などについてつらつらと

ブラシ作成指南(その1) ~ブラシ設定概観1

これから何回かに分けて、Clover Paintの新しいブラシの設定方法について説明していきます。

リファレンスでなく、出来るだけ普通の人にもわかるように順序を考えて話すつもりです。

 

今回はまず、ブラシの各設定項目について概観します。

最初に膨大な量の設定項目がどんな意味を持ってそこにあるのか、だいたいの見当がついていたほうが、最初から細かい部分を説明するよりも理解が早くなると思われるからです。今回は突っ込んだ説明を省くため、かなり感覚的なざっくりした表現で流していきます。ある程度詳しい説明は次回以降となります。

 

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適当なペンを選択中に「ペン」→「ブラシ…」を選択すると上のような画面が開きます。

Sandbox

一番上の「Sandbox」となっている部分に(自動更新がONだと)現在のパラメータによるストロークが常時表示されます。ここにペンを走らせて描き味を試したり、ピンチ操作でカメラの操作も可能です。

 

システム用のパラメータ

ブラシ設定用のウインドウですが、一部ブラシ描画とは関係ない、システム上の都合による設定が含まれています。

1つは画面一番上の「太さ/流量 ツールバー」となっている部分です。

次にその下の「サイズ固定モード」ですがこれをチェックしておくと、ズームでキャンバスの倍率が変わっても、ペンが見た目一定の太さを保つようになります。

他にも、寄付版を購入されている場合は、設定項目リストの一番下に「ワンショットUndo」の設定があります。これは見かけ遅延を少なくするため、未決定部分のストロークを描画しながら、決定したら描き直したり(このために利用している内部的なUndoのことをワンショットUndoと呼んでいる)少し未来のペン先位置を予測して描画しておくなどの機能を持ちます。書き味に大きく影響しますが最終的な描画結果には反映されません。

また、その上にある「ホバー中ブラシカーソルに適用する筆圧値」も描画結果には関係ないので、とりあえず無視しましょう。

逆に言えば、これ以外のパラメータはすべてブラシの描画結果に反映されます。

 

Spotの大まかな形状に影響するパラメータ

・ペン太さ

・ペン先形状

・変形

・砂ブラシ

これらには特に説明の必要もないでしょうが、一応少しだけ。

ペン先形状の四角は変形と組み合わせて硬い平筆を作れますが、テクスチャパターンによりSpotの形状を決める場合にも利用します。

砂ブラシは特殊で、Spotで指定した形状内をランダムなドットで描画するようになります。

 

Spotとは

ペン先の形をした「しみ」の1つ1つをClover PaintではSpotと呼びます。これらの「しみ」をペンの移動に合わせて継ぎ目がわからない程、密に並べることで連続したストロークに見せています。

 

Spotの濃度や詳細な形状に影響するパラメータ 

・ペン流量(移動時トリガ)

・ペン流量(停止時トリガ)

アンチエイリアス

・ぼかし

・ぼかし補間法

・テクスチャパターン

・パーリンノイズ

・形状濃度ポストエフェクト

 

ペン流量はSpotの濃度を指定します。後ほど出てくるストローク合成の「ペン合成不透明度」とは全く効果が違いますので注意が必要です。

ペン流量は通常、(移動時トリガ)で指定します。(停止時トリガ)は、ペンを止めた時に利用される流量です。マジック等の浸透圧でインクがどんどん出てくるような画材の場合に設定します。

アンチエイリアスはペンの移動座標を1ピクセル内で128分割して、Spotの描画位置を細かく濃度を調整しながら描画します。細いペンの抜き等を綺麗に出したい時には必須です。逆にドット打ちの場合には外しておく必要があります。多少重くなるので必要なければチェックを外す方がいいかもしれません。 

テクスチャパターンでは、(円形やぼかしなどの)システムで用意されているSpot形状・濃度変化では表現できない複雑な形状・濃度変化を持つSpotを指定したいときに利用します。 

 パーリンノイズはおおまかなSpot形状はシステムのまま、Spotに微妙な濃度変化を与えて質感を表現したいときなどに、様々なテクスチャを簡単に作成できます。

形状濃度ポストエフェクトはSpot濃度演算の最終段階に演算式を入れて濃度を調整します。組み込みブラシの平筆(硬い)で、濃度のなだらかな変化をスポット内のベタ面積の変化になるように変換する時などに使われています。

 

 動的パラメータ設定

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ここまで説明したパラメータの中には、赤丸で囲んだようなボタンのついているものがあります。

このボタンがあるパラメータは、「筆圧、ストロークの速度、ペンの傾き(Cintiqのみ)、ストローク中の位置(入り抜き)」などの入力値に反応してその出力値を変化させることが出来ます。

これら効果は、レンジバーで指定した数値に0.0~1.0の値を掛け合わせます。例えばペンの太さに50を指定していたら、効果カーブの設定で0.0~50.0までの変化を作ることができるということです。

 

概観といいながら、少し長くなって来ました。

続きは次回で!